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<後編>【50代エンジニアのキャリアストーリー~将来のエンジニアライフを考える~】ウェビナーレポート #over50

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2021年2月9日(火)ファインディが主催するエンジニア向けイベント「【50代エンジニアのキャリアストーリー~将来のエンジニアライフを考える~】」がオンライン上で開催されました。

「35歳定年説」と謳われるエンジニアのキャリア。「40歳を迎えてこれからもエンジニアを続けられるのか」「年齢的にマネジメントに進まないといけないのか」「周りに50歳以上のエンジニアがいない」といった内容の相談をファインディでも数多く受けてきました。本イベントでは、50代以上のエンジニアとして活躍されている方々をお呼びして、将来のエンジニアライフを考える上で、ヒントとなるお話をお伺いしました。 本記事は、当日のQ&Aをまとめた後編となります。

Q1:50代のエンジニアはどこにいる?

ー「50代のエンジニアは、どこに行っちゃったんですか」という質問ですが、皆さんの周りにはいらっしゃいますか?

渡辺さん:うちの会社にも何名かいますし、意外といると思いますけどね。コミュニティに足を運べば、ほぼ最年長の部類ですけど、何名か年上の人に出会ったこともありますし、同年代の知り合いも結構いますよ。

塩谷さん:現役でWebをごりごりやっている50代はレアキャラかもしれませんが、例えば組み込みやゲーム、インフラなど観測範囲を広げると実はいると思いますよ。当社ではAWSの仕事が多いので、インフラ屋さんから流れてきた50代の方は割といらっしゃいます。

Q2:フリーランスで生きていけるのか?

ー続きまして、「フリーランスで仕事を続けることは可能なのでしょうか」というご質問をいただいています。

増田さん:フリーランスはやはり、営業というか仕事を取るのが大変。人脈がある間は大丈夫だと思います。若い時に作った人脈が、年数を重ねていくと積極的に関わりを維持しないと仕事は減っていく。仕事を作り、人脈を作っていけば活路はあると思いますし、技術面では年齢は全く関係ないですよ。

渡辺さん:私も全然いけると思います。増田さんが仰った通り、仕事を取ってくるのが一番厳しいので、そこをどうするかですね。技術的には何歳でもやれると思うので、人脈を広げ続けることがとにかく必要。結局仕事が来る条件は、人。人脈がある人です。色んなコミュニティや機会に顔を出せば、やれるんじゃないかなと思います。

Q3:開発を極めるか、マネージャ―の道に進むか?

ー続いてのご質問は、「開発のままでいるか、マネージャ―としてのキャリアを歩まれるか、どのようにご判断をされるのでしょうか」。塩谷さんいかがでしょうか?

塩谷さん:マネージャーの道を選んだ側からの観点でお話をすると、自分の価値をどこに置くかだと思います。若くて活きのいいエンジニアにとって、並のおっさんは時に邪魔になることがある(笑)。でも、話は分かるんですよね。

私にとっては、エンジニアの話が分かるマネージャ―であることがバリューで。世の中の最大幸福を考えたら、自分でコードを書くよりも、コードを書く人の面倒を見る方がいいことに気づいた。幸い、それが嫌な仕事ではなく、向いている仕事だなと思って楽しくやれています。

どうやって自分のバリューを出せるに気づくことが、分かれ道になるのではないでしょうか。頑なにマネージャ―やらないって意固地になるのではなく、やってみて合わなかったら辞める。実際私も、一度エンジニアに戻ったこともありました。ちゃんと経験した上で、エンジニアとして一定の腕があれば、いつでもやり直せますよ。

*登壇者4名と、LTで登壇していただいたbash0C7様@sapi_kawahara

Q4:オススメの本は?

ー続いて、「最近読んで面白かった本があれば教えてください」とコメントをいただいています。

増田さん:最近読んで面白かったのは、『新装版 達人プログラマー:職人から名匠への道』ですね。あれはいい本です。現代版プラグマティックプログラマーという、理論じゃなくて現場の実践的なノウハウの塊みたいな本なんです。開発者は、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。

あとは面白くないかもしれないけど、基礎知識という意味で『教養としてのコンピューターサイエンス講義』は勧めておきます。基礎や原理が分かっていると、最新の現代の技術にも色々と応用が効くよ、ということをテーマにしている本です。

Q5:管理者経験は必要なのか?

ー「30代後半で転職活動をしていると、技術だけでなく管理者経験を求められます。やはり管理者経験は必要なのでしょうか」という質問をいただいています。

塩谷さん:投げやりな答えですけど、適材適所なので、そういう人を求めているところに行けばいいと思います。会社によってチームの課題は多岐に渡りますので、課題によっては超手を動かせる人がほしい会社も全然ありますよ。技術の話を理解できて、かつ採用もできる人がほしい会社もあるでしょうし。

中途で、年齢がある程度高い人を採用したいと思っている企業は、組織的な課題が採用やマネジメントである傾向が多く、ごりごりコードを書く開発面ではない課題を持っていることが多い。

市場的に課題を持ちやすいところを攻めるのか、それでも私はコードを書くんだ!って貫いて、コードを書けるひとを探しているところに行くのか。どちらの選択をするのか、という話ではないでしょうか。コードを書く仕事をするんだ!で貫いた例ですと、渡辺さんは希望の光ですね(笑)。

Q6:若手と接する際に意識していることは?

ー次の質問は、「お子さんくらいの年齢の若手が入社してきて、接する時に意識していることはありますか」。いかがでしょうか?

渡辺さん:別にあまり変わったことはしてないか。昔と比べると、部下や後輩たちから「渡辺さん丸くなりましたよね」と言われるので、私が優しくなったのかな(笑)。

増田さん:こちらは気にしないけれど、さすがに向こうからタメ口で話してくることはないですよね(笑)。技術面でもそうですが、仕事上でコミュニケーション取る上でも私も特に意識していることはないですね。

仕事以外では、年齢差は感じますね(笑)。ゲームが好きで、最近のものも結構やっているのですが、共通の話題があってもノリは合わない。共感のポイントが違うんでしょうね。興味持つところが違うというか、仕方ないですね。

Q7:一芸に秀でていないと、50代エンジニアは難しいの?

ーでは、次の質問でラストにしようと思います。「お三方のように、一芸に秀でて業界内で名前が出ていたり、本を書いたり起業をしたりしないと、やはり50代でも現役でいるのは難しいのでしょうか」。増田さんいかがでしょうか?

増田さん:私はたまたまそういう機会があっただけで、実際50~60歳になっても現役の人はたくさんいらっしゃいます。秀でているというよりも、現役の方は共通して学び続けている印象を持っていますね。

昔学んで覚えていることだけで、食えていると言っているような人はダメな気がしますね。さすがに技術の世界なので、新しいことを常に取り入れようとしている人は、何歳になっても関係なく続けていけるのではないでしょうか。

リポジトリのソースコードに、年齢書いてないんですからね(笑)。対象年齢もないし、あれなんか何歳の方が書いているか分かりませんよ。もしかしたら中学生かもしれないし、60代の人かもしれませんしね。

ーより一層、エンジニアとして頑張っていきたいという気持ちになりました。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!