Findy Engineer Lab

エンジニアの"ちょい先"を考えるメディア

こにふぁーさん、ばんくしさんが語る「エンジニア転職の今〜転職ブログと本音〜」

2019年4月25日、エンジニアを対象としたイベント「エンジニア転職の今〜転職ブログと本音〜 Engineer Next Lab #4」が開催されました。

現在、エンジニアの求人倍率は7倍とも言われ、転職活動においては売り手市場になってきています。一方で、エンジニアの転職サービス「Findy」のリリース後、Findyメンバー全員で500名以上のエンジニアユーザーにお会いする中で、会社選択やキャリア設計で悩みを抱えている方が多いことが分かってきました。

そこで、エンジニア転職の世界で発信をしている方をお招きして、”エンジニア転職の今”についてディスカッションするイベントを開催。登壇者による本音トークがいくつも飛び出したイベントの内容を、”記事に掲載できる範囲で”レポートします!

 

■パネルディスカッション登壇者

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こにふぁー(@konifar)/株式会社Kyash

ワークスアプリケーションズで勤怠管理システムを開発した後、2013年に元同期に誘われて当時社員数3人の奇兵隊へ入社。2014年にアプリのリニューアルのためAndroidアプリの開発を始める。2016年に英語環境で働いてみたくなりQuipperへ入社し、チームでのAndroid開発を経験。2017年にKyashへ入社し、主にAndroidアプリの開発をしながら楽しく働いている。

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ばんくし(@vaaaaanquish)/エムスリー株式会社

Sansan R&D部門に新卒入社。画像認識エンジンや自然言語処理APIを開発、その後Yahoo! JAPANにて機械学習モデリングチームのリーダーとして開発、マネージメントに従事。業務の傍ら、勉強会の主催や登壇を行うなど、機械学習技術の研鑽、発信に努める。2019年2月よりエムスリー株式会社、機械学習エンジニア。

■モデレーター

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佐藤将高(@ma3tk)/ファインディ株式会社

東京大学 情報理工学系研究科 創造情報学専攻卒業後、グリーに入社し、フルスタックエンジニアとして勤務する。2016年6月にファインディ立上げに伴い取締役CTO就任。大学院では、稲葉真理研究室に所属。過去10年分の論文に対し論文間の類似度を、自然言語処理やデータマイニングにより内容の解析を定量的・定性的に行うことで算出する論文を執筆。

2人のトークがスタート!会場限定の”NO SHARE”な内容も

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この日、登壇者の手元には”NO SHARE”と書かれた札が用意されていました。これが掲げられた間のトークは、SNSへのシェア禁止。会場に来た人だけが聞けるぶっちゃけトークで、来場者を沸かせていました。

来場者のツイートをチェックすることができる、イベントのハッシュタグは「#EngineerNLab」。なお、本記事でも”NO SHARE”のトーク部分はカットしてお届けします。

――まずは、お二人の自己紹介からお願いします!

こにふぁー:小西裕介といいます。最近は、オンラインでもオフラインでも「こにふぁー」と呼ばれることが多いです。現在、株式会社Kyashという会社で働いていて、4社目です。

ブログを書き始めたのは、2社目の時。今回、転職ブログがテーマですが、実は「転職しました」とか「退職しました」というブログ自体は書いていないんです。退職して半年くらい経ってから書いた内容はあるんですけど、転職エントリは書いたことがありません。一応これには理由があるので、後で話します。

今日はせっかくの機会なので、転職のネガティブな面や泥臭い話、オンラインでは言いにくい年収の話なども、話せたらいいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

ばんくし:私は今3社目で、エムスリー株式会社という医療関連サービスをやっている会社にいます。これまでSansanとYahoo! JAPAN、エムスリーに入るタイミングで転職エントリを書き、はてブでボコボコに叩かれています(笑)。

基本的に、機械学習エンジニア(MLエンジニア)をやっていますが、自身の挑戦も含めてプロダクトを企画する所から開発、社内調整まで通しでやらせてもらっています。

あとは、転職エントリを毎回書いて、フォロワーの多さでゴリ押してバズらせ、皆に読んでもらっている、みたいな感じです(笑)。今日は年収の話や、ネガティブな話からポジティブな話まで全部出していって、”NO SHARE”の札を積極的に使っていける回にしたいと思っています。よろしくお願いします。

 

Q.これまで何を軸に転職活動してきたのか?

――1つ目の質問として、「過去に何を軸に転職活動してきたのか?」からお伺いしていきたいと思います。まずは、こにふぁーさんからお願いします。

こにふぁー:軸というほど、すごく考えてきたわけではないんですけど、当然お金のことは考えてきました。いきなり言ってしまうと、新卒で入った時の給料がそれなりに高めだったんですが、そこから4年くらいかけて200万円弱くらい上がりました。

その後、お金はもらっているけど、すごくつまらなくなってしまって。それで、「お金なんかどうでもいいから、とりあえず楽しいことができる会社に行きたい」と思って、4人くらいのベンチャーに転職したんです。

なので、最初はある程度お金で選んだけれども、2社目の時はお金のことは気にしないと言って、年収が半分くらいになりました。

その転職後は、すごく楽しかったんですよ。最初はBtoBだったのがCtoCのサービスになって、ユーザーさんの声も聞けるし、仕事やサービス自体が楽しいって良いことだなと思っていたんです。でも、だんだんお金がなくなってきて(笑)。

それで、「お金がなきゃダメだ!」と思って転職したので、3社目に行った時はお金も加味されていました。それから、2社目がすごく小さな会社だったので、技術的に成長する余裕がないという焦りがあって、3社目は「Quipper」というリクルートの中にある大きな会社に行きました。

なので、3社目に転職した時の軸は、自分の成長についても少し考えていた感じです。ただ、4社目のKyashに入ったきっかけは、正直そんなに軸とかはなくて。直感で面白いと思って、Findyさん経由で入りました(笑)。

軸というと、お金とメンバーが良いか。あと、仕事で嫌な気持ちになった時に、支えとなるサービスに対する思い入れがあるか、というのが軸と言えば軸ですね。サービスへの思い入れっていうのは本当に人それぞれで、もしかしたらまったくない人もいるかもしれないけど、自分は今そういう風に考えています。

――お金に関しては、比重として今どれくらい高く考えていますか?

こにふぁー:今は、比重でいうとそんなに重要視はしていないけど、十分もらっているからあまり気にしていない、という感じですね。副業もしつつ別に十分暮らしていけるので。

一番大事なのは、奥さんと一緒にそれなりに楽しく生きていければいいということなので、あまりお金の比重は高くないですね。まぁ「2500万出す」とか言われたら、ちょっと考えますけど……(笑)。

――続いて、ばんくしさんはいかがですか?

ばんくし:こにふぁーさんと比べた時に、私の転職がどう違うかというと、私はライフプランにものすごく左右されてきているんですね。新卒で入った会社がSansanで、社内恋愛で嫁を見つけ、奥さんが体調を崩して仕事を辞めて……というところまではブログにも書いてあるんですけど(笑)。

Sansanは表参道にあるので、その近くの池尻大橋とか三軒茶屋に住んでいたんですが、奥さんが仕事できなくなって、「ここで生活していくのは無理だよね」という話になり、転職したんです。それがきっかけで、Yahoo! JAPANに入りました。

奥さんの事情もあり、早く家に帰りたいというのがあったんですが、Yahoo!は働き方改革にすごく力を入れていて。それから、その頃は機械学習のチームリーダーをやっていたので、スペシャリストの給与テーブルになり、年収もだいたい倍くらいになって転職成功という感じでした。

その次は、自分が抱えていた技術的な課題にマンション購入が重なったタイミングで転職を考えるようになって、その課題を公表した所、色んな人に連絡を貰って、エムスリーに入る形になりました。

自分がやっていきたい技術に関しては、機械学習で固定されていて。私は高専卒で、高専の頃からずっと機械学習をやっているので、業界にいる年数は7~8年になります。最近は、新しく入ってきた人にガンガン抜かれているので何とも言えない部分もありますが、業界が長いからこその知見もあり、転職もそこそこ上手くいってる感じです。

なので、軸としては機械学習をメインに据えていて、年収やキャリアプランを考えて転職しました。きっかけとして、ライフイベントがあった感じですね。今は結婚初期の激動も落ち着きつつあり、長期的な経験という観点からも、そろそろ1つの会社に長居したいなとは思っています。

こにふぁー:ライフイベント起点ということは、例えば子どもができたりしたら、また転職する可能性も?

ばんくし:全然あると思います。エムスリーで働くのはすごく楽しくて好きだし、子育てと両立して働いている人ももちろん多くいますが、その時の自分の状況を見て転職という事はゼロではないと思いますね。

 

Q.転職活動中の悩みごとに対して、どう解決してきたのか?

――転職活動中に悩むこともさまざまあると思います。そういう時、どんな方法で解決してきましたか?

こにふぁー:僕が最も悩んだのは、2社目を辞める時ですね。すごく小さなベンチャーだったし、年数も一番長かったので、辞めることを切り出すのがしんどかったんです。その時は、よくある話ですが、友達や奥さんに相談したりして、最終的には「自分の人生だし」と自分に言い聞かせるような形で解消しました。

誰も特定できないと思うんですけど、僕Twitterの裏アカウントを持っていて、そこに嫌なことがあった時とか、全部書いてるんですよ。そこにドロドロの僕の感情が流れているので、「良いこともあったな……」と思う時に見返して、公平にジャッジするというか。

表に言えることはブログにも全部書いているし、そういうものを見返して、最終的にどうするかは自分で決めるっていう感じですね。なので、解消してきた方法と言われると、”よく考える”くらいしか答えがないんですけど……。

ばんくし:たぶん会社と合わないことが、一番悩みになりやすいと思うんですよね。私はフォロワーが多いことがIT業界の中では知られているので、外への発信や業務中のツイートできなくなるような会社だったら絶対に合わないと思うんです。活動的な強みも活かせないし、その中でいくら他の条件が合ったとしても、楽しくやれないと思っていて。

それは、おそらく就活サイトとか、Findyでもきっとわかりきらないですよね。どこまで個人が裁量を持って自由に活動できるかって、中の人に聞かないとわからないので。そういう意味で、私は気になる企業があったら絶対に中の人に会いに行くようにしています。

カジュアル面談とか臆さずにガンガン行って、本当にカジュアルに話すだけ話して、合わないなと思ったら「申し訳ないですけど……」とお断りするようにしています。それでサイクルを早く回して、大量の選択肢から一番良いものを選んでいます。

こにふぁー:転職活動中に、良いなと思う会社があっても、実際に入った時にどうなるかわからなくて不安、というのはありますよね。今の会社を受ける前に何社か見させてもらっていたんですけど、働いてみないと本当のところはわからないので、最初に業務委託で入って1ヶ月くらい様子を見ようと思っていたんですよ。

その提案をすると、だいたいどの会社も「いいよ」という感じだったので、まずは中に入って働いてみるという選択肢も、今はありなのかなって。

ばんくし:めちゃくちゃ良いですね。だって、就活中なんてみんな良いことしか言わないですもん(笑)。1回入ってみるのは良い手段だと思います。

Q.なぜ転職に対する考え方などをブログで発信しているのか?

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――続いて、今回のテーマである「転職ブログ」に関する質問です。お二人はなぜ、転職に対する考え方などをブログで発信しているのでしょうか?

ばんくし:私が転職ブログを書いている表向きの理由としては、”ロールモデルがインターネット上にあって欲しい”という思いがあります。自分がこういう生活をしていて、これくらいの年収で、技術力はこれくらいで、次はどんな業界のこういう会社を狙いたくて……という情報から、Google検索で事例が出てくる世界観ってすごく幸せだと思っていて。

次のキャリアを考える時の選択肢にもなるし、さっきも話していたように、転職活動中はみんな良いことしか言わないけど、元社員だとそれなりに濁してネガティブな面も出してくれるところがあるので、その情報は皆必要だよねというのが表向きの理由です。

裏向きの話で言うと、採用のためにやっている側面があります。まず、私自身が「転職しました」と公言して理由を説明しておかないと、「あいつ、1ヶ月前まで前職の採用活動やってたじゃん!」みたいなことを結構言われたりするんですよ(笑)。

なので、「これからはエムスリーで、今の私が思う最高の環境で最高の人たちと働きたい」と考え方や心境、状況の変化を宣言をしておくことで、それを受け入れてくれる人たちが多くいるというのが1つ。

加えて、中には転職記事やその後の活動を見て「エムスリー気になってるんです」と言ってくれる人がいて、採用活動が捗ったりします。それで強い人が同じ職場に入ってきてくれたら私は嬉しいです。表向きには言っていませんが、そういう採用の意図があります。

こにふぁー:僕は冒頭にお話したように、「転職しました」という内容のブログは書いていないんですけど、在職中のブログはなぜ書いているかというと、ばんくしさんが言っていたように”採用に効く”というのが明らかに出るからですね。

Kyashでもエンジニアに限らず、ブログを見て来てくれる人がいます。どんな人がどんな風に働いているのかとか、良いところも悪いところも書いてあるものがないとジャッジしにくいと思うので、それをなるべく正直に書いているというのが理由の1つですね。

それから、いわゆる退職エントリをなぜ書かないのかについては、感情が高ぶったタイミングだと思うので、自分語りになってしまいそうなのが嫌だったのと、それをブログで齟齬なく書ける技量がないからです。

その会社に残っている人やこれから転職する先の会社の人、まったく繋がりのない人から友達まで、いろんな人に見られることを想定して文章を書くハードルが高いというのと、はてなブログで書くと、すごく細かいところにツッコミが入ったりするので。

なので、ばんくしさんがやっているように、noteで有料にして書くというのはすごく良い方法だと思っていて、もしかしたら今後はそうするかもしれません。

――ブログに対して、本質ではない部分を指摘するようなコメントが付くこともあると思います。そういう時は、どうやってメンタルを保っていますか?

ばんくし:”NO SHARE”の札を出さずに言っていいのかわからないですが、私は基本的にはてブのコメントをあまり見ないんです。たまにフォロワーさんから「めっちゃ面白いコメントがあった」と言われたら見に行くくらい。

逆にうちの奥さんははてブを結構見ているんですよ。私が書いたブログについたコメントに対して、奥さんが「なんだこいつ!」って家の中で怒っているのを見て、「かわいいなぁ」って思うくらいです(笑)。

実際、見ないのが一番いいと思いますけどね。自分の言いたいことを言って、ポジティブな面の影響だけもらって、ネガティブな面は「まぁ、あるよね」と一つの反例として心に留めるくらいが一番いいのかなと私は思います。

こにふぁー:僕は基本的に、在職ブログは会社の人にレビューをもらって、本来ツッコミどころがない形で出しているんですよ。なので、その上で変なツッコミをしてくる人は、ちょっと嫌な人なんだと割り切って考えるようにしています。

はてブのコメントに関しては、リプライできないので言い返せないじゃないですか。なので、見るとすごくストレスが溜まるんですけど、会社のことを書いている以上、炎上して変な方向にいったら嫌なので、僕は全部見ています。見ないのが一番というのは、本当にそうだと思うんですけど。

その上で、軌道修正した方がいいなと思うツイートを見かけたら、その人のタイムラインを見にいって、会話できそうな人だと思ったらリプライを送ります。そうでなければ見て見ぬふりをして、奥さんに「こういう人もいたんだよ」と話をするだけにしておく感じですね。

――転職後、ブログを書いた時と現在で感じる差分や変化はありますか?

ばんくし:私の方が転職直後に書いているので先にお答えすると、私はネガティブな差分はほぼ感じたことがなくて。それがあるくらいなら転職しないです。

例えばYahoo!がわかりやすいと思いますが、企業として幅広いサービスをやっているので、ユーザーの多さ故にネット上で叩かれやすい面があって、それはある程度許容しているというか。それを考えた上で言っているから、ネガティブな差分はあまりないです。

逆に、「俺も今この会社にいるんだよね」とか「会社近いから今度ご飯行きましょう」といった反応をもらって、そこから仕事に繋がったり面白い話が聞けたりするので、どちらかというと私はポジティブな差分の方が感じやすいかなと思います。

こにふぁー:Kyashに入ってからはネガティブなところはあまりないですね。ポジティブなところは、ブログを見て応募してくれた人がかなりいるので、そういう面では書いてよかったと思います。

 

来場者が気になる質問をぶつける!質疑応答タイムへ

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来場者:40代・50代のキャリアプランについて想像されていることはありますか?

こにふぁー:それほど具体的には考えていないです。「50代くらいになったら、世界一周旅行とかしたいね」と奥さんと話していて、そのために稼いだ分は全部貯めたりしているくらいですね。

技術でいくか、マネジメントでいくか、みたいな話は少しだけ考えていて。自分はそんなに技術で尖っているわけではないので、マネジメントの方へシフトしていって、40代・50代はそちら側のスペシャリストになる方がいいかなくらいは考えていますけど、あまり具体的な生存戦略としてはまだ捉えていないですね。

ばんくし:私はかなり明確にあって、それに向かって進んでいます。尊敬するエンジニアが何人かいるんですが、開発から企画や運用、営業まで全部やれる人たちなんです。そういう人に憧れているので、それに向かってチャレンジしている感じです。

 

来場者:転職っていつまでできると思いますか?

こにふぁー:これは逆に聞きたいんですけど、Findyで転職を扱っていると”いつまで”とかってあったりするんですか?

佐藤(Findy):いつまでだろうな……。これってマインド次第かなと思います。というのも、30代でも40代でも、優秀な人って何でもガツガツ取り組む姿勢が強いんです。

ただ、上に上がれるかどうかというところだと、マネジメント経験があるかとか、何かのスペシャリストであるとか、テックリードとして皆をまとめられるとか、ロールをきちんと持っている方がやっぱり転職しやすいなと感じています。

そうでないと、どうしても頭打ちというか、提供できるバリューが少なくなってきてしまう。なので、やっぱりどこかに焦点を当てて、そこに向かう人というのが、いつでも転職できる方なんじゃないかなと思っています。

こにふぁー:40代・50代があまり想像できていないので、ふわっとした回答になってしまいますが、今一緒に働いている同僚やパートナーの方の中には、40代以上の方もいらっしゃいます。

なので、エンジニアに限った話ではないところで言えば、40代・50代でもそれまでにどれだけいろんな経験をしてきたかによって、転職も全然可能なんじゃないかなと。

エンジニアで言うと、先日「DroidKaigi」というAndroidの大きなカンファレンスがあって、その時に来ていたGoogle本社のすごいエンジニアは、年齢も結構上の方なんですけど、現役でコードも書いていて、どこからでも声が掛かるだろうなという人でした。

という意味で、今の時点では40代・50代でも声が掛かるように経験を積んだり、ブログなどもそうですが、アウトプットをしておいたりするといいのかなと思います。

 

来場者:ばんくしさんへの質問です。年収を公開した後に「うちだったらもっと出したのに」と言われたことはありましたか?

ばんくし:めちゃくちゃありましたね。それにプラスして役職つけます、みたいな話も多くて。でも、私はそういうところで諦めが良くて、「自分のリサーチ不足だったな」と思うんですよ。

気になったらすぐ話を聞きに行くようにしている中で、私のアンテナに入っていなかったわけで、市場調査をちゃんとしていればと反省はしますけど、もうしょうがないよねって。

転職した1日目とかに「転職ブログ見ました。うちのCTOになってくれませんか」みたいなメッセージが来るんですよ。こっちとしては「もう遅いよ、1日目なんだよ」みたいな(笑)。

そういうことがあるので、サンプリングという意味での市場調査大事にしていますし、自分が決めた後から高い報酬の話が来ても、後悔しないような選択をするというのも大事にしています。

 

来場者:Twitter転職などでカジュアルに自分の希望年収を公開することについて、どう思いますか?

ばんくし:年収って、会社の状況がどうかと、周りの人の情報と、自分の希望と、みたいな要素があると思うんですけど、その要素同士が強い相関を持っているという訳ではないんですよ。

実際ちょっと厳しいかなと思う条件でも、儲けている会社でタイミングが合っているとポンと出せたりします。今日ちょうど評価面談があったので、私のカバンの中に今期の年収を書いた紙が入っている面白い状況なんですけど(笑)、周りの同年代と比較しても高い金額が書かれていると感じます。

儲けていてかつ技術に投資している会社は良い条件を出せるというシンプルな構図なんですよ。後はそこにフィットするか、フィットできるだけの努力をしているかです。

年収を公開したところで「お前はもっともらえる」とか「お前は高望みしている」とか「あの人はこれくらいだから」と言われても、それは別に他人の意見であって、自分の現状を加味して「今これくらい欲しくて、それに応じられる会社があるなら来て欲しい」くらいで言っていくのが良いと思います。その上で交渉する。会社と自分の思いと他人の意見は独立した要素、というところは大事にして欲しいと思います。

こにふぁー:僕からも質問したいんですけど、今の会社に入る時って給与交渉しましたか?

ばんくし:私は転職活動中はガッツリしました。

私がエムスリーの採用を受けている段階では、まだまだ小さいチームで機械学習システムの開発をやっていて、エンジニアとして、採用や機械学習チーム広報のアーリーアダプター的な存在として人を採っている事もあり、そのタイミングに交渉した額がフィットした形だと思っています。

こにふぁー:給与交渉は転職活動の悩みどころの1つで、僕は最初の転職で年収を半分にした時点で完全に失敗しているんですよね。交渉もしていなかったし、特にベンチャーに入る時は給与交渉と一緒に、ストックオプションとかいろいろな話があるじゃないですか。

だから、知識がないとダメなんですよね。ベンチャーに行くことを考えている人は、ストックオプションを含めた必要な知識として、『起業のファイナンス』という本を絶対に読んだ方がいいです。

他の人がどれくらいもらっているかの情報は、自分が希望する年収の1つの基準になるので、年収を公開している人というのはそういう意味で、転職しようとしている人の役に立っているのかなと思いますね。

ばんくし:『起業のファイナンス』は、大企業に行ってもめっちゃ役に立ちますよ。自社株とかたくさんいろんな仕組みがあるので、401kとか、そういった仕組みの基礎として知っておかないと損する事が載っている良書だと思います。

 

転職を考えるエンジニアに向けて、2人からのアドバイス

――最後に、今後転職を考えるエンジニアの方に向けて、どういうことを考えて転職したらいいか、これだけは一番重要だというアドバイスを一言お願いします。

ばんくし:私が一番大事だと思っているのは、「まずやること」だと思っています。負い目を感じたとしてもやらないと始まらないので、気になったら話を聞きに行くことがすごく大事。

カジュアルな話が気づいたら面談が進んでいって……みたいな話にならないか不安に思う人もいると思うんですけど、もし途中で辞退したとしても、またタイミングをズラしてもう1回行って大丈夫です。Googleだって1年の間を空ければいいよと言っているくらいです。

これはあくまで個人的な意見ですが、私も採用をする側になることがありますが、過去落ちていようが内定辞退していようが何回来てくれてもいいと思っています。

1年や2年のスパンを空けて技術力が上がっていれば、前は落ちた人でも採用という可能性は全然あるでしょうし、さっきも言っていたように会社のタイミングもあります。今はインフラに強い人が欲しいとか、専門的な知識を深めている人が欲しいとか。そういうタイミングと、自分の転職したい意志の重なりという面も強いので。

さらに、その上で「受かってから決める」というのが大事だと思っていて、受かって実際に向こうからの評価や金額を見て、「まだ転職しなくていいや」と思ったら、しなければいい話なんです。そういうところであまり難しく考えずに、自分の市場価値がどれくらいなのかを知る意味でも、一度やってみるのは大事かなと思います。

こにふぁー:まだ具体的には考えていなくて「転職しようかな」くらいの人は、さっきの動き始めるという話もそうですけど、今やっていることや考えていることを何かしらの形で発信していくと、良いことがあるんじゃないかなと思いますね。

僕は前の会社でも今の会社でも採用を見ていて、GitHubやQiitaなどいくつかの要素を見てジャッジするんですけど、技術力はもちろんですが、どういう人なのかを判断する時にブログがあると、やっぱりすごくわかりやすいんです。

自分の考えや悩んでいることをカジュアルに発信しておくと、後々本気で転職を考え始めた時とか、転職に向けて動き始めて何か良い方向に進んだ時に、少しプラスになるんじゃないかと思うので、少しずつどこかに書いていくといいかもしれないですね。

――以上でパネルディスカッションは終了となります。ばんくしさん、こにふぁーさん、ありがとうございました!

 

2名のLTを行い、登壇者を含む懇親会で交流へ

パネルディスカッション後は、2名によるLTを実施。Ubie株式会社shirajiさんは、「いろんな企業に転職してみて -大中小規模の会社を比較してみる-」、ファインディ株式会社 kaacunは「転職する時に考えた2つの軸」、とそれぞれのテーマで”NO SHARE”を織り交ぜつつトークが繰り広げられました。

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Ubie株式会社 shirajiさん

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ファインディ株式会社 kaacun

LTの終了後に、登壇者も含めた懇親会がスタート。

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来場したエンジニア同士の交流はもちろんのこと、登壇者へ直接話を聞きに行くチャンスにも。大いに賑わいを見せる中、本イベントは終了となりました。

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